主人公はわたしではない、だがそれがいい。 -NEWSに恋して プレイ記-

※『NEWSに恋して』加藤ルート5話までのネタバレを存分に含みますので、未プレイの方はまわれ右で!

 

今まで恋愛ゲームの楽しみ方として「主人公に自分を投影できないことには始まらないのでは?」と思っていたのですが、にゅす恋をプレイしてみて必ずしもそうではないことがわかりました。主人公の名前にこそ自分の名前を登録してはいるのですが、ルートごとの彼女たちは全然自分じゃなくて、なんかわかんないけど第三者の目線から「応援したい」と思えるような、全然嫌味じゃない絶妙のラインに性格設定されているのがプロの仕事だなと感じます。

もちろん自分を投影できるならした方が楽しめるような気はしているのですけど、基本的に主人公ちゃんたちの性格が良すぎて、びっくりするくらい自分と重ならない…つらい。

そんなにゅす恋シナリオですが、メンバーのキャラクターの違いがしっかり描かれていることと、主人公ちゃんの性格もお相手に合わせた設定にされているのが楽しいところ。どのお相手を選んでも「昼に間違い電話がかかってきた相手がNEWSのメンバーで、その夜にその人と偶然会ってしまう」という出会いのエピソードは同じなのに、お相手ごとにこんなバラエティに富んだ展開にもっていけるのが面白いなぁと思います。それこそがメンバーのキャラクターの違いが織りなす妙で。

 

たとえば、小道具として出てくる”ネックレス”についての手越ルートと加藤ルートでの扱いの違い。

手越くんルートで登場するネックレスは、手越くんが彼女と付き合った記念にサプライズでプレゼントする「彼女のシルシ」。それはそれで「嬉しい!」という気持ちもわからなくはないのですが、個人的には残念なことに趣味でないアクセサリーを一方的にいただくと微妙な気持ちになってしまうので(そんなに貰ったこともないですけども)あまりしっくり来ず。

対して加藤さんルートの主人公ちゃんは、自分で気に入って買ったネックレスを身に着けていることが序盤から描かれているのですが、加藤さんがそれを「似合ってる」とほめるんですね。

あ、やばい。こっちの方が断然グッとくる(個人差あると思いますが)。

もともと自分で気に入って身に着けているものをほめられるのって、すごく嬉しいんですよね。*1

そもそも、手越くんこと祐くんルートの主人公ちゃんは、加藤さんことシゲくんルートの主人公ちゃんと比べるとあまり自分の信念が無くて流されやすいタイプ、良く言うとずいぶん素直なタイプだなと感じます。おそらくそういう子でないと、自由な祐くんの突飛な行動を受け入れられず、振り回されることに疲れちゃうんだろうなぁと思います。素直で、祐くんから良い影響をすぐ受けて、柔軟に方向転換が出来る。そういうタイプの女の子。

対してシゲくんルートの主人公ちゃんは、あの加藤シゲアキと対等な関係を築けるくらいの、自分をしっかり持っている聡明なタイプ。自分の考えや思いをきちんと言葉で表すことができるし、それでいて相手の気持ちも汲んで引くところはきちんと引ける素敵な女性。

自分で書いてて今気付きましたけど、そうか、祐くんの彼女は「女の子」って感じで、シゲくんの彼女は「女性」って感じ、する。するね。

そのシゲくんのお相手の性格についてもうひとつ絶対に書いておきたいことが。

煮魚イベントの後には話が一気に数か月後に進んで友人関係になっている2人。約束をしているわけではないけど、お互い気に入って通っているブックカフェで会えるときは会えるし、会えないときは会えない、そんな関係。

そこで主人公ちゃんが普段からちょっと変わった料理の本をよく読んでいる描写があるんですが、そのことについて加藤さんが「ちょいちょい俺と張り合おうとするのやめない?最近ひたすら変わった料理本読んでるのもそうでしょ」って見透かしてくる場面があるんですよね。

これ!おそらく全シゲアキ担が息を飲んだんじゃないかと思うんですけど。(勝手に巻き込んですみません)

シゲアキ担は、シゲアキに張り合いたい生き物なんです!そういう性分なんです!加藤シゲアキが知っていることを知りたいし、加藤シゲアキが話したいことをちゃんと理解しながら聞きたいし、加藤シゲアキに追いつきたい。ひたすら追いつきたい。そういう生き物だって、何故このシナリオを書いている人は知っているんでしょう。絶対Twitterでサーチされているに違いない。もしくは書いている人がシゲアキ担。まちがいない。すごい。ラブコイン投げつけたい(やめとけ)。

まあ、そんな風にですね、自分と重ねられるところは重ねて、そうでないところは連続ドラマとか月刊の少女漫画の連載を読んでいるような気持ちで二人の恋を応援している次第です。

 

あ、話がちょっと戻りますけど、加藤さんと主人公ちゃんが友人関係になってから初めてきちんと約束をしてお出かけをする場面で、加藤さんがまたネックレスについて言及するんです。「ネックレス、彼氏からのプレゼント?」とか聞いてくるんですよ!?

(いまさら感はあるけど)彼氏の有無を!「ネックレス」という存在を使って!遠まわしに聞いてくる!

だからわたしに「計算してる!手練れ!」って言われるんだぞシゲアキ!そういうとこだぞ!

 

*1:(ちなみにこの「ネックレス、いいじゃん。思ってたよりもずっと似合ってる」とほめてくれるくだりは例の煮魚を受けとって「容器は今度返して」と言われて混乱している時の去り際に言われるので、ギャップでよりグッとくる。)